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森で絵を観る [ミュージアム]

耳をすませば、風。
ざわざわざわ・・・と葉擦れの音。

金色に、森の緑が反射する。

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ベルギーの芸術家 Jan Fabre ヤン・ファーブル(1958- )の
"Hoofdstuk XVIII" 「頭部 XVIII」2010。

彼は「昆虫記」で有名なアンリ・ファーブルの曾孫・・・ひまご。 
他にも鹿の角、山羊の角、一角獣の角など様々な表情と共に8個ほど並んでた。

そんな中、このを選んだのは、以前よく似たイメージの作品を見た覚えがあるから。
「フランダースの騎士(絶望の騎士)」で、Taekoさんの記事「ベルギー奇想の系譜」展で。


10月上旬、国立公園の中のミュージアムに出かけた時の話の始まり。
列車と、バスを2回も乗り換えてやってきたのは、
オランダ東部にある、Kröller-Müller Museum クレラー・ミュラー・ミュージアム

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Atelier Peter van Aalst van Edingen(c.1450-1533)
ペーター・ファン・アールスト・ファン・エーディンゲン工房
"Schepping en zondeval" 「人類の創造と堕落」c.1500  

ウールとシルクのタペストリー。 サイズは410cm X 800cm というかなり大きなもの。


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私が気になるところは中央下の、

水上に顔を出してるもいれば、水中のもいるし、ちゃんと波まで表現されてるのだ。
クジャク、白鳥、カモ、ヘラサギ、ガンらしきものがいる。

植物も見もので、例えば・・・

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・・・左下の部分には、オオバコみたいなのとか、イチゴ、ポピー、スミレ、デイジー、ブドウなど。

このタペストリーは、オランダ中部ユトレヒト近郊のHaarzuilens ハールザイレンスにある
Kasteel de Haar デ・ハール城の所有。

訪れた時、オランダのミュージアムの中の40軒から80の作品を集めた
"For the love of art"展が開催中だったのだ。


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Lawrence Alma-Tademaローレンス・アルマ=タデマ(1836-1912)の
"Entree van het Theater" 「劇場の入り口」1866

オランダ生まれで、のちに英国に帰化した画家。
オランダ北部のLeeuwarden レーワルデンにあるFries Museum フリース・ミュージアム所蔵。

左に立ってる男性の足元、緑のソックスに白いサンダルに目が行った。

この画家の他の絵は、アムステルダムの西の街、Haarlem ハールレムにある、
Teylers Museum タイラース・ミュゼーウム・・・タイラー博物館で見たことがある。


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オランダの画家 Andreas Schelfhout アンドレアス・スヘルフハウト(1787-1870)の
"Schaatsers bij een Hollandse stad"
「とあるオランダの街の近くでスケートをする人たち」
1857

オランダ南西部にあるKasteel Duivenvoorde ダウフェンフォールデ城所蔵。

こういう冬の風景画は好き。 滑る人やコケてる人の様子も楽しいが・・・

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・・・氷のひび割れ氷上の傷氷のかけらの描写がすごくリアルなのだった。
透明感のあるものを描くのって、難しそうだ。

さっと企画展を見てから、常設展へ。

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南ネーデルラント出身の画家Hendrick van Cleef ヘンドリック・ファン・クレーフ(1525-1589)の
"Bow van de toren van Babel" 「バベルの塔の建設」 16世紀終わり〜17世紀初め

バベルの塔っていろんな画家が描いてるから、つい集めたくなる。

斜めに撮っているのは、額のガラスに照明が反射したり映り込んだりするから。


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スイスの画家 Félix Vallotton フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)の
"Les filets, Honfleur" 「網、オンフルール」1912

オンフルールは、フランスの北西部にある港町だから、きっと漁網

奥の濃いグレイ部分はで、怪しげな雲から局地的にが降ってる様子かな。
道の両脇に点々と黄色い花が咲いてるのもいい感じ。


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ベルギー生まれの画家 Théo van Rysselberghe テオ・ファン・ライセルベルヘ(1862-1926)の
"En Juillet - avant midi of Le verger"「 7月 正午前 もしくは 果樹園」1890

点描画で、木漏れ日が当たった部分の描き方が美しく。 ブルーの服の女性が画家の婚約者らしい。

この画家の他の風景画は昔、パリのMusée Marmottan Monet マルモッタン・モネ美術館で開催の
《 アンリ・エドモン・クロスと新印象派 スーラらからマティスまで 》展で見たことがあった。


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オランダの画家 Jan Vijlbrief ヤン・ファイルブリーフ(1869-1895)
"Landschap met Hooimijt" 「大きな干草の山がある風景」1894年頃

・・・って、どこに干草の山が?ってなるのだけれど。

おそらく、Hooiberg ホーイベルフのことだろうな。 干草や藁の貯蔵する農業用建造物。
屋根の四隅に4つの柱が刺さってるようなもので、積む干草の量によって屋根の高さが調節可能。


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オランダの画家 Johan Aarts ヨーハン・アーツ(1871-1934)の
"Boerderij in duinstreek" 「砂丘地域の農場」1895年頃

1年後に描かれたようだけれど、先の画家ヤン・ファイルブリーフの絵をベースにしてるのかしらね。


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Jan Toorop ヤン・トーロップ(1858-1928)の"Zee" 「海」 1899

これも点描画。 すごく繊細な海の色、そして波が美しい。

インドネシアのジャワ島生まれで、オランダに移住した画家。
この画家、いろんなタイプの絵を描いてる。

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同じくヤン・トーロップの絵で、"Zang der tijden" 「時間の歌」1893

チョークと鉛筆が使われているよう。 額縁のマット部分にまで描かれている。

ヤン・トーロップの絵は、Stedelijk Museum Amsterdam アムステルダム市立ミュージアムで、
"Oude Eiken in Surrey" 『サリーにある古いオークの木』というのを見たことがあった。


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ベルギーの画家 James Ensor ジェームズ・アンソール(1860-1949)の
"Nature morte au chou" 「キャベツのある静物画」1921

アンソール静物画だなんて意外だったけど、ちょいとシュールなところに納得。
赤キャベツ、ちりめんキャベツ、玉ねぎ、ポロネギ、人参、ルタバガなど描かれている。


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オランダの画家 Leo Gestel レオ・ヘステル(1881-1941)の
"Vruchtenstilleven"「果物の静物画」1911

同じく派手な静物画で目を引いた。

中央に特別にお皿に入ってるのは、メロン? ・・・カボチャっぽいフォルム。
他にはバナナ、リンゴ、ブドウ、桃、プラムらしきものが見られるのだけれど、
赤たまねぎみたいなのがあるなぁ・・・。

花瓶の図柄がチューリップなのもオランダっぽい。


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イタリアの画家 Gino Severini ジーノ・セヴェリーニ(1883-1964)の
"Nature morte avec guitare"「ギターのある静物画」1919年1月

どこにギター?と間違い探しのようにキョロキョロ。 クラリネットも描かれてる?


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同じく、ジーノ・セヴェリーニ"Pierrot" 「ピエロ」1923

手に持ってるのと、卓上と、壁・・・これにはギターらしきものが3つ。


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イタリアの画家 Giorgio de Chirico ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)の
"Twee druiventrossen"「2つのブドウの房」 1928年以前

キリコといえばアーチの並ぶ建物の絵だったので、これは私には新鮮だった。


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フランスの画家 Pierre Puvis de Chavannes
ピエール・ピュヴィ(ス)・ド・シャヴァンヌ
(1824-1898)の

"La Madeleine au désert(Méditation)" 「砂漠のマドレーヌ(瞑想)」1869

マドレーヌは、マグダラのマリアのことを指すよう。 手に持っているのは頭蓋骨。
しかし、砂漠の洞窟でひとり修行したのはエジプトのマリアで、同一視されてしまったという話もある。


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フランスの画家 Maurice Denis モーリス・ドニ(1870-1943)の
"Le monotone verger" 「単調な果樹園」1898

遠くに海が見える。 この果樹園の葉っぱ、一枚一枚描くの大変だったろうな。
微妙に色が異なる緑で葉が縁取りされてたり、植物によって葉っぱの形や全体のフォルムが違ったり。


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同じくモーリス・ドニ"Mystère Catholique" 「カトリックの玄義」1891

このタイトルのドニの絵は3枚あり、筆のタッチや色調はもちろん違うけど、
カーテンの揺れ、椅子の背もたれの形、床近くまで入ってるかどうかとか、微妙に異なる。 

あとの2枚は、個人蔵と、パリ郊外にあるモーリス・ドニ美術館に。


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米国の芸術家 Bruce Nauman ブルース・ナウマン(1941- )の
"Window or Wall Sign"「窓あるいは看板」1967

The true artist helps the world by revealing mystic truths.
真の芸術家は、神秘的な真実をありのままに露呈することで世界を救う。 ・・・と書かれてるそう。


クレラー・ミュラー・ミュージアム、過去に何度か記事にしてるので、
今回はあまりメジャーではないものを選んでみた。


あと少し、この日の話は続く^^。

nice!(61)  コメント(16) 
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コメント 16

ma2ma2

海外って結構街中に銅像があったりしますね!
ロンドンのビッグベンの前にはチャーチルの像がありました。
日本はお城とか公園になっちゃいますね(^^)
by ma2ma2 (2018-11-20 19:36) 

riverwalk

森は歩いて景色を眺める場所という感覚がありました。
森の中のミュージアムも素敵ですね。
違った感じで絵を眺めれそうです^^
by riverwalk (2018-11-20 21:24) 

斗夢

耳なんですね、髪の毛だと思ったんですが^^。
by 斗夢 (2018-11-20 22:01) 

KOME

スケートの絵で思い出したのですけど、テムズ川でスケートしている絵もあるのです。
温暖化で、今は凍らないようです。
by KOME (2018-11-20 22:33) 

coco030705

ファーブルってベルギー人だったんですね!子供のころ、ファーブル昆虫記をよく読みました。
タペストリー、すばらしいですね。すごく細かい模様、どんなに時間がかかったことでしょう。絵画もいい絵がたくさんあって楽しいです。
by coco030705 (2018-11-20 23:46) 

Yamamoto

こんばんは、出出しにファーブルと読んでアンリ・ファーブルを思ったら
ファーブルの曾孫だったんですね。
たしかアンリ・ファーブルはフランス人だったかと思います。
そうしますとその後の子孫は、ベルギーに移り住んだのでしょうか?
by Yamamoto (2018-11-21 00:28) 

めぎ

タペストリーの端っこの植物、こんなに色々なのが描かれていたんですね~
ゆっくりと落ち着いて絵を見たりする時間がほしい今日このごろです。
なんだかただただ慌ただしく過ぎていきます・・・
by めぎ (2018-11-21 06:48) 

mitu

Jan Toorop ヤン・トーロップ(1858-1928)の"Zee" 「海」 1899

こんな絵が部屋に在ったら…暖かい海に包まれる夢見れそうです^^
by mitu (2018-11-21 08:43) 

oko

そういえば、美術館とか行かなくなりました・・・
時間のゆとりがないのかも・・
by oko (2018-11-21 08:56) 

miffy

頭部像は物語に出てくるエルフみたい。
ちょっと長い耳はロバにも見えるな~
企画展はいろいろな美術館の絵画を見れるのが良いですね。
同じ画家の作品も時系列で見ると絵の描き方の変遷が見れるのも面白いですね。
by miffy (2018-11-21 16:51) 

DON

氷上の描写
本当にリアルだなぁ~ すごい!(^^ゞ

by DON (2018-11-21 21:05) 

JUNKO

沢山お名画を観賞できたのですね。筆のタッチの跡までじかに見られる展示の仕方が好きです。ガラス張りではそれがわかりませんから。
by JUNKO (2018-11-21 22:50) 

(。・_・。)2k

自由に撮らせてくれるって良いですね
見るだけじゃ勿体無いもんなぁ

by (。・_・。)2k (2018-11-21 23:12) 

テリー

黄金の彫像って、面白そうですね。実物を見てみたい。
by テリー (2018-11-22 17:25) 

TaekoLovesParis

好きな絵がたくさん!ここ、いいですねー。クレラー・ミューラー美術館からの点描画の展覧会が2013年に東京であって、とってもよかったんですよ。ここにあるヤン・トーロップの「海」、ライセルヘルベの「七月の朝」が来てました。だから過去記事(2013年12月)ですが、そこにこの記事へのリンクをつけさせていただきました。

デ・キリコは、建物にギリシア彫刻の頭だけがのっていたりとか、シューレアリストでついていけないけど、静物画のようなこのブドウは、いいですねー。
シャバンヌ、ドニ、ヴァロットン、どれも初めて見る絵で、興味深かったです。オランダの画家の絵もいいものがたくさん、ありますね。私たちが知らないだけね。
by TaekoLovesParis (2018-11-23 09:22) 

Inatimy

→皆さま「森で絵を観る」のお話にnice!やコメントをありがとうございました。何回来てもそのたびに微妙に違う展示で新鮮さもあり、何度も観てもいいなぁというものもあり^^。列車と2回のバスの乗り継ぎで来るのは大変だけど・・・。

→ma2ma2さま
街の中でも、何かしらその辺に像は立ってるかも^^。銅像だったり、石像だったり。運河に架かってる橋も意外と有名な建築家の作品だったりもして。

→riverwalkさま
このミュージアムには彫刻庭園もあって、かなりの数の作品が見られます^^。時間が足りず今回はほんのちょっぴり外の作品と、室内だけで。

→斗夢さま
耳なんですよ^^。髪の毛だったら、すごく面白い髪型に仕上がりそう。長く伸ばさないとダメですね〜。

→KOMEさま
アムステルダムでは1月に運河が凍り、多くの人が運河でスケートを楽しんでました^^。ま、氷が割れて落っこちた人も多数だったとか・・・。アムステル川も凍ったけれど、スケートするほどまでには厚くならず。

→coco030705さま
このヤン・ファーブルはベルギー人ですが祖父のアンリ・ファーブルはフランス人です^^。タペストリーを作るの、かなりの年月だったでしょうね。細やかな糸の変化で見事な表現でした。かなり良い絵がたくさんあるんですよ、ここ。図録、また買ってしまいました。

→Yamamotoさま
そうなんですよね、アンリ・ファーブルはフランス人で、このヤン・ファーブルはベルギー人。アンリ・ファーブルには子沢山だったけど成人したのは男女わからないけどそのうちの4人だったかな。ベルギーはお隣の国だから、嫁いだりもあったんでしょうね^^。

→めぎさま
慌ただしいですよね〜。ここには何ヶ月も前から来たいと言ってたので、それに合わせて調整^^;。私としてはもっと紅葉の時期が良かったのだけれど、辺りに何もないところで日没後にバスを待つのも嫌だなと。

→mituさま
私の中では点描画で海といえばスーラだったんですが、このヤン・トーロップの海にも惚れました^^。本当、穏やかでいい夢が見られそう。

→okoさま
日本はかなりいい企画展をたくさんしてますよね、いつもうらやましく思ってます^^。このミュージアムには随分と前からまた来たいと思ってて、列車、バス、またバスと乗り換えて遠かったけど来た甲斐がありました。

→miffyさま
ロバ好きな私にはツボな耳です♪ 今回の企画展はオランダのあちこちの美術館から集められた選りすぐりばかり^^。意外といい作品を所蔵してると、新たに目をつけた美術館にもこの後、別の日に行ってみましたよ。

→DONさま
氷ってどう描いたらあんな透明感が出るのか、不思議です^^。昔の画家のスーパーリアリズムも見ごたえあり。

→JUNKOさま
筆のタッチを見るのが好きなので近くまで寄って見られるここの展示はありがたいです^^。多くの美術館って、足元に立ち入り禁止ラインがあったりで・・・注意されないかギリギリ、ドキドキ。

→(。・_・。)2kさま
フラッシュや三脚などを使わなければ撮影OKなのがありがたいです^^。私が気に入った絵って大抵ポストカードにもなってなくて。オランダのアムステルダム国立博物館はサイトで絵の画像をダウンロードできたりするので、それもオープンですよね。

→テリーさま
金色の胸像、ズラーッと並んでるのも圧巻でした^^。長いツノが生えてるものは、かなり離れないと入りきらなかったり。

→TaekoLovesParisさま
リンクをつけてくださってありがとうございます^^。2013年の点描画の記事再度拝見しました。良い展覧会でしたね。日本ってつくづく良い展覧会が開催されるなぁ・・・とうらやましく。デ・キリコのブドウはお気に入り。見てたらブドウの甘みまで感じられました。オランダの画家というとすぐにゴッホ、フェルメール、レンブラントあたりが注目されますが、意外といい画家さんがいるんですよね・・・と私もオランダに来てから気づいたという^^;。
by Inatimy (2018-11-27 18:11) 

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